朝夕は「寒い!」と言ってしまう季節になってきました。今回は、何度もどこでも聞いたことがあるだろう「肥満と病気」についてです。なかなか直視したくない問題ですが、しかし、一度見つめてもらいたい問題でもあります。
原因
摂取カロリーと消費カロリーのアンバランスによります。簡単に言うと「食べさせ過ぎ」なのですが、主食であるドライフードが多すぎるというよりは、副食の「おやつ類のあげ過ぎ」が原因のことが多いようです。また、中にはオーナー様が「良く食べてこそ健康なんだ」と思われていたり、「太っているとかわいい」と思われていることから肥満になってしまうこともあるそうです。
ワンちゃんやネコちゃん・エキゾチックペット側にも問題がある部分もあります。好発種、遺伝的素因、年齢、性別、避妊・去勢手術などがそれに当たります。
肥満に関連する病気
・寿命の短縮
・関節疾患
・循環器障害
・糖尿病
・免疫力の低下
・皮膚病
・膵炎
・腫瘍
・繁殖障害
・麻酔リスクの増大
肥満の治療
・運動によって消費カロリーを増やす
・食餌を制限することによって摂取カロリーを抑える
運動は大切ですが、実際ワンちゃんのお散歩などにも時間の制限があったりしますし、ましてネコちゃんをお散歩というのはとても難しいと思います。また、ヒトのペースに合わせても効率的にカロリーを消費できないことから運動だけでダイエットはなかなか難しいので、食事療法が並行して必要になります。
食事によってカロリーを制限するのも注意点があります。単純に食事の量を減らすと、「カロリー以外の栄養素」の摂取量も減ってしまいます。また、「満腹感」が得られなくなってしまうのでペットたちのストレスになってしまいます。満腹感を得られないと食事の催促などの行動が始まりオーナー様もストレスを感じることになってしまいます。
これらを考慮すると、「栄養素が調節されている・満腹感にも配慮されている療法食」が便利ではあると思います。
肥満の予防
「始めから太らせないこと」が最も大切です。そもそも痩せさせる手間がなく、健康に影響も出ないからです。生まれた年のワクチン接種などの際、食事の管理の仕方について指導させていただくのが獣医師の責任と思いますが、気になることがあればなんでも質問していただければと思います。
「始めから太らせない」方が良い理由はもう1つあります。それはリバウンドの問題です。減量が成功しても、その後さらに体に必要なカロリー量が減少してしまうからです。つまり減量に成功しても、食事の量はそのままにも関わらずまた太っていってしまうことがあるからです。
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肥満は少し特殊な病気です。それは直接獣医師が治療に参加できないところです。「ダイエットする」と口で言うのは簡単ですが、「行うことがとても難しい」ということはとても良く理解できます。「ご家族であるワンちゃん・ネコちゃん・エキゾチックペットの子たちの健康を思えばっ!!」と、心を鬼にしてがんばっていただきたいと思います。それに必要な手助けは我々にもできます。
しかし、「どうしても痩せることができない!」場合もあります。そんなときは「肥満とは別の病気が隠れている」かもしれません。いくらダイエットしても痩せられないときは病院へ相談していただくのも良いと思います。