問題行動の予防2

夏真っ盛りですね。引き続き熱中症には注意してください。お散歩は必ず、涼しい時間を選んでお水を持ってでかけましょう。

問題行動の予防のためにできることの続きです。

小型犬は散歩に行かなくても良い?

確かに、犬種にはよりますが、小型犬は大型犬に比べて運動量は少なくて済むかもしれません。しかし、ワンちゃんは「臭いをかぎ、何かを探す」という本能があります。お散歩をすることで、気の向くまま探し物をするという自由は必要なことと思います。

また、ワンちゃんの「社会化期」を考えるとワクチンを3回終わる前にでも、外に出るべきという考え方もあります。いろいろな物事を経験するためにもお散歩は大切です。この時期に経験し記憶したことは、将来、その経験した物事に対しての恐怖心や不安を当然抑えてくれるからです。

遊ぶ意味

ボールを追いかけて遊ぶことは、動く物(獲物)を追うという欲求(本能)を満たしてくれます。また、それをくわえて振り回すことも同様にその欲求を満たしてくれる行動です。

さらにその遊びの中で、ワンちゃんにルールを教えてあげるチャンスが生まれてきます。例えば、遊びに夢中になってヒトの手を噛んでしまったら、それが「ダメ」であることを教えることができます。くわえたものが良くないものであった場合の「放せ」の練習もできるかもしれません。

「1人で遊んでいてね」とおもちゃをわたしてしまうのはもったいないことでもあるわけです。また、オーナー様とのコミュニケーションもとれる大切な時間であることも覚えておくと良いと思います。

 

病院に行く準備として

ワンちゃんを家族として迎えれば必ず動物病院へ行く必要が出てきます。またトリミングなどのためにペットショップに行くことも多いハズです。基本的には病院などは「イヤなことをされるところ」と思われてしまいます。「それを少しでもなくすための練習」は自宅でも行うことができます。そうすると病院側もとても助かりますし、オーナー様も「うちの子は病院嫌いだから連れてくのが大変・・・」、「迷惑をかけてしまうかも・・・」という気持ちを減らすことができます。

多くのヒトと出会う

社会化期の間に多くのヒトを「見る」、「触れ合う」と良いです。ワクチンをすべて接種する前でも抱っこで散歩をして「いろいろな種類のヒト」がいることを覚えてもらうのも良いです。友達を家に招くのも良い方法です。

触られてイヤな場所をなくす(口、耳、足先など)

口、耳、足先などは敏感な部分です。しかし、これらの部分は、歯磨き、耳そうじ、爪切りと意外と良く触る機会が多い場所です。病院でも外耳炎の治療や爪切りをすることは多いですが嫌がる子もとても多いです。痛みや違和感があることも原因ですが、「そこに触れられること自体がイヤ!」というのも大きな原因です。

家にワンちゃんを迎えたらこれらの部分に積極的に触れるようにすると良いです。やさしく・短い時間から触れるのが良いです。口ならわざと唇をめくってみたり、耳ならくすぐってみたり、足先ならやさしくもんでみたりすると良いかもしれません。また、触りながらおやつをあげるのも良いです。「その部分を触られるとごほうびがある。その部分を触られると良いことがある。」という気持ちにしてあげられます。

病院へ頻繁に通う

お仕事などをされているとなかなか難しいことかもしれません。しかし、社会化期に頻繁に病院を訪れていると「当たり前に場所」になってくれるので良いです。お散歩中にちょっと立ち寄ってみる、体重だけを測ってみるのも良いです。治療やワクチン(嫌なこと)以外で訪れるのがポイントです。

おやつを病院で先生からもらう」ことも、「病院(獣医師)を好きになる」ためには効果的なのでご用意しておきます。

最後に、ヒトと同じように「必ず個人差や個性は存在」します。つまり、覚えるペース・覚えられること・覚えられないこと、できること・できないことには必ず差が出ます。「こうあってほしい」というオーナー様の理想像が必ずあると思いますが、ワンちゃんの個性や性格も考えてあげる必要があります。

問題行動の予防1

雨の日はまだ多いですが、夏らしくなってきました。熱中症対策はしっかりしてお散歩やお出かけをしてください。ノミ・マダニの活動も活発になっていますので予防もおすすめします。

今回は、新しくワンちゃんを迎えたときに「問題行動を少しでも予防するために知っておきたいこと」のお話です。

問題行動って

ワンちゃんにとっては正常な行動だけれども、ヒトと暮らす上では困ってしまう行動と、まさに異常な行動の両方を合わせて問題行動と呼びます。また、病的な原因(痛みなど)があって、問題行動が悪化していることもあったりします。

子供のワンちゃんが置かれている環境

多くの場合早くに離乳されてしまうので、精神的なストレスに弱いことが多いです。

また、親兄弟と早く離れるためワンちゃん同士のコミュニケーション方法(噛む力の加減など)を覚える時間も少ないです。

ワンちゃんならではの欲求

いろいろな臭いを嗅いで、探索するような獲物を探すための行動や獲物を捕らえるための行動などです。具体的にはお散歩中にクンクンする、動くボールを追いかけるといった行動です。

5つの自由

アニマルウェルフェアで国際的な基準となっている動物の持つ権利です。ワンちゃんに照らし合わせて簡単に説明すると、

・バランスの良い食事を与えられること、きれいな水が飲めること

・清潔な環境、快適な温度・湿度、居心地の良い休憩場所があること

・体調の変化に気づいてあげること、適切な治療を受けること

・恐怖や不安をできる限り避けること。また、原因に対してご褒美などをあげることによって恐怖や不安を感じにくい状 態へしてあげること。

イヌらしい行動ができること。(獲物を探す行動。動く物を追いかける・捕まえる。ヒトや他のワンちゃんとのコミュ ニケーション(触れ合う・臭う))

子供のワンちゃんの社会化期

・ワンちゃんが、一生のうちに出会う生き物たちとの触れあい方を学習する時期のことです。

3-12週齢がその時期(社会化期)と言われています。

・強い好奇心を持ち、他の生き物との関わりを持つことでコミュニケーション方法を覚える時期です。しかし、この時期 の終わりごろになると警戒心がついてくるので、物事に対して恐怖や不安を覚えます。そのため社会化期の中でも早い 段階で多くのことを覚えてもらう必要があります。

非常に簡単ですがこれらの事を少し心に留めておいてもらうと、新しく家族に迎えたワンちゃんとの接し方に役立つのではないかと思います。ヒトとは違う性質を持っていることを理解してあげることと、ヒトと同じように知識や社会性を得る期間には制限があることが大切な部分であると思います。