今年も暑い夏ですね。ワンちゃん、ネコちゃんの皮膚疾患(アレルギー性皮膚炎も含み)、外耳炎で来院される件数が格段に増える季節です。しかし、今回はアレルギーが原因のせき・くしゃみのお話です。
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はじめに
ワンちゃん、ネコちゃんではアレルギー性呼吸器疾患は少ないようです。診断が確定しづらいこともその要因の一つかもしれません。アレルギーが原因になる呼吸器疾患は、アレルギー性鼻炎やアレルギー性気管支炎・アレルギー性肺炎(ネコちゃんなら「猫喘息」と呼ばれたりします)があります。
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症状
くしゃみ・鼻水
花粉やダニにアレルギーを持っている場合に、アレルギーの元が鼻に入るとくしゃみを連発することが多いようです。鼻水が出ることがあります。繰り返すうちに重症化していき、そこに細菌感染が起こったりすると膿の鼻水を出すようになったります。
特に鼻の長い犬種(ダックスフンドやウェルシュ・コーギーなど)は慢性化しやすく重症化しやすいので注意が必要です。
逆くしゃみ
アレルギー性鼻炎のワンちゃんに見られます。ワンちゃんに特有の症状です。「首を伸ばして大きな鼻の音を出しながら」息を吸ったり吐いたりする行動です。この行動も重症化すると疲れ果てるほど長く続くこともあるそうです。
咳
初期は乾いた咳をします。明け方や夕方などの少し冷えたりした時に出やすいようです。元気も食欲もあって「ちょっと咳がでるかな?」といった感じです。また、高齢の子になると心臓疾患による咳のこともあるので、注意が必要です。
ネコちゃんが咳をする場合はワンちゃんに比べて、「すでに呼吸の状態はかなり悪化している」可能性があります。咳を始める以前に呼吸回数が多くなるといった症状がでることが多いです。それに伴って食欲が低下することもあります。
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アレルギー性の呼吸器疾患は、その他に多くある呼吸器疾患の中でも「まれ」な部類に入ると思います。また、確定診断をすることが難しいために発見しづらいという部分もあります。「その他の呼吸器疾患への治療が効かない!」→「アレルギー性呼吸器疾患かも?」という順番に診断していくこともあるため治療も遅れがちになってしまうこともあります。
呼吸器の問題は命に直結しています。オーナー様が日ごろよく見ていただいて、「おかしいな」と思ったら早めに受診していただくということがとても大切ではないかと思います。